高い汽笛をあげて、汽車がホームに滑り込む。停車した汽車の扉が開ききらぬうちに、エドワードは我先にと飛び出し、走り出した。
「早くしろよアル!」
大勢の人間が行き来する巨大なホームを金色が疾走する。その後ろに続くのは巨漢のアームストロングに、鎧姿のアルフォンス、さらに稀有な色彩を持つ。そんな一行が通り過ぎれば嫌でも人目を引くのは当たり前で。
「兄さんそんなに急がなくても・・・・・」
「うむ、図書館は逃げることは無いぞ」
「気をつけないと人にぶつかるわよ!」
すれ違う人々が向ける好奇の視線に3人はそれぞれ気を使ったのだが、
「いいから早く!」
エドワード自身はそんな事はどうでもいいらしく、結局一気に改札の外まで走りぬけた。
「来たぜセントラル!!」
第15話 セントラル到着
(相変わらず大きな駅ね・・・)
エドワードと共に走ってきたため少し乱れた息を整えながらは辺りを見回す。アメストリス最大の駅にしてその名の通り国の中央に位置するセントラルを彼女が訪れるのは久しぶりであった。
「あ・・・アームストロング少佐」
「む?」
見回した際に視界の端に捉えたのは見慣れた青い軍服の2人組み。がその二人を示したと同時に相手もこちらに気付いたのだろう、慌てて走ってくる。
「アームストロング少佐、おむかえにあがりました」
びしっと敬礼しつつそう言ったのは、几帳面に分けられた前髪から女性ながらに軍人然とした風格を漂わせるマリア・ロス少尉である。その後ろで同じように敬礼するどこか少年っぽさを残した金髪の青年がデニー・ブロッシュ軍曹だ。
「うむ、ごくろう。ロス少尉、ブロッシュ軍曹」
「おっ、こちらが鋼の錬金術師殿でありますか」
アームストロングがそう言うと、ブロッシュは早速その背後にいる人物に気付いた。
”鋼の錬金術師”といえばセントラルでも有名である。どこか羨望に近い眼差しでロスとブロッシュは敬礼した。
「マリア・ロスです。お会いできて光栄です!」
「デニー・ブロッシュです。いやぁ、ふたつ名通りの出で立ち!貫禄ですな!」
ただしその相手はお約束通りアルフォンスであった。彼自身なれたもので、やんわりと2人の視線をエドワードに向けてやる。
「え?」
「あっちのちっこいの?」
間違えるだけならまだしも言ってはならないブロッシュの一言はエドワード最大の鬼門である。
「こっ・・・・これは失礼いたしました!!」
「ちっこいなどと、いえその・・・・」
当然慌てて謝罪する2人に問答無用と飛びかかるエドワードにだったが、その襟首をアームストロングに掴まれてやむなく制された。
「・・・・と・・・ところで、こちらの女性は?」
ブロッシュはエドワードから目を反らすと、話題を変えるように目を向けた。
「ああ、ブロッシュ軍曹は初対面だったわね。こちらは光輝の錬金術師・少佐。東方司令部に勤務されているのよ」
「え・・・そ・・・それは失礼いたしました!デニー・ブロッシュ軍曹です!」
ロスの言葉に、ブロッシュは慌てて敬礼しなおした。先ほどからアームストロングの横に佇む彼女の存在に気付いてはいたのだが、その華奢な外見から軍人だとは気付かなかったのである。
「いえ、こちらこそ申し遅れました、・です。初めましてブロッシュ軍曹」
はにこりと笑うと敬礼した手をすっとブロッシュの前に差し出した。
「あ・・・・と・・・・初めまして・・・」
華の綻ぶような笑顔を向けられてかあっと赤くなったブロッシュは、躊躇いがちにその手を取ると軽く握手を交わした。
「ロス少尉はお久しぶりですね」」
「お久しぶりです少佐、お元気そうで何よりです!」
そう言ってロスも笑顔を向ける。彼女はが国家資格を取って軍に入った直後からの顔見知りである。がセントラルに滞在中に何度か話す機会があり、女性同士ということもあって、すぐ打ち解けたのだった。
「では挨拶も終わったところで我輩はこのままセントラル司令部に報告に赴くゆえ」
そんなやりとりを笑顔で見守っていたアームストロングが言うと、なにやら今まで落ち込んでいたエドワードの表情がぱあっと明るくなった。
「え?何?ここでお別れ?おつかれさん、残念だなぁ、バイバイ!!」
わざとらしく大きく手を振るエドワード。
「我輩も残念だ!!まっこと楽しい旅であったぞ!!また後ほど会おう!!」
しかしそれが間違いであった、エドワードはアームストロングの熱烈な抱擁を受ける羽目になる。
「あとはまかせた」
「「はっ!」」
すでに魂の抜けきったような表情のエドワードを腕にぶら下げて、アームストロングが言うと、2人は何度目かの敬礼をする。
「えー?まだ護衛つけなきゃならないのかよー」
「当然である」
瀕死状態から復活したエドワードが嫌そうな顔をする。
「東方司令部の報告によるとスカーもまだ捕まっていないようですし、事態が落ち着くまで私たちが護衛を引き受けることになっています。アームストロング少佐ほど頼りにならないかもしれませんが、腕には自信がありますので安心してください」
「しょーがないなぁ・・・」
ロスが苦笑交じりに説明すると、エドワードはあきらめて肩を落とした。
「じゃあ、気をつけてねエドワード君、アルフォンス君」
「え、少佐はこれからどうするんだ?」
てっきりこのまま図書館まで一緒に来ると思っていたからそんな一言が出たので、エドワードは思わず聞き返した。
「私は・・・」
「このまま東方司令部に戻らないといけないから」
「一度中央司令部に行くことになるから」
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あとがきと言うよりは中書き
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