「私は、このまま東方司令部に戻らないといけないから、ここでお別れね」
そもそも、自分がリゼンブールに行くことになったのはロイ曰く療養のためである。マルコーとの出会いによって思わぬ回復をしたといえ、人員不足の東方司令部をこれ以上あけるわけには行かない。
「え・・・そうなんですか?」
アルフォンスはちょっと残念だなと鎧の首を俯けた。
「うん、私も残念だけど仕事もいっぱいたまってるだろうしね」
は苦笑しながら肩をすくめて見せた。
「あんま無理すんなよ?」
エドワードが心配そうに目を向けると、は手を差し出した。
「ありがとう、気をつけるよ。エドワード君もアルフォンス君も、資料早く見つかると良いね」
「はい」
「ああ!」
2人はそれぞれ交互にと握手をかわすと力強く頷いた。希望の灯ったその瞳にの表情も綻ぶ。
「ではアームストロング少佐、私はここで失礼いたします。本当にお世話になり・・・・・」
はアームストロングに向き直ると敬礼したのだが、一連のやりとりに感涙中のその表情に思わず硬直した。
「なんと・・・なんと美しきかな・・・・互いに別れを惜しみ合う友の姿・・・・」
くわっとひらかれたアームストロングの目には一歩後ずさった。
「我輩感動ッ!!」
「っひ!?」
「うわぁっ!!それはいけませんアームストロング少佐!!」
いつもの勢いでにまで抱きつこうとしたアームストロングを、ロスとブロッシュは慌てて引き止める。
「む・・・そうであるな」
アームストロングはこほんと咳払いをすると自分も敬礼した。
「・も十分に気をつけよ。東方の面々によろしくたのむぞ」
「はい!」
それが別れの挨拶であった。
「ふぅ・・・・」
待たせてある車に向かうエドワード達の姿が見えなくなると、は小さくため息をついた。
(・・・行かなきゃ)
足元に置いたトランクを持つと踵を返した。少し前に通ったばかりの改札に入ってイーストシティ方面行きの汽車に乗りこむ。幸い車内は空いていて、空いている座席は沢山ある。は一番端の窓際に腰を下ろした。
数日前にこうして座った時は同行者のおかげで賑やかだったが、いざ一人になるとその静けさがなんとなく寂しい気がする。
(本当は一緒に行きたい所だったけど・・・)
この道中でマルコーから得た僅かな手かがり。どうやら自分の捜し物には”賢者の石”が関わっているらしいことは分かった。
(そうも言ってられないしね)
は苦笑する。
東方司令部に戻ればやることは山ほどあり、当然、しばらくは私的な目的で行動する機会などほとんどなくなる。しかし、それでも今まで掴むことすらできなかった手掛かりを見つけられたのだ。たとえ時間がかかっても希望はある、とは自分を納得させる。
(それはいいとして・・・・)
黒髪の上官の姿が脳裏に浮かんでは思わず大きく嘆息した。一体彼はどこまで本気でどこまで冗談で言っているのか。
(・・・司令部に戻ったらしばらくホークアイ中尉から離れないでいようかな)
うん、そうしようとは一人頷くと目を閉じた。昨夜ほとんど眠らなかったせいか静寂が眠気をそそる。
セントラルからイーストシティまではおよそ半日。午後を少し回ったばかりのこの時刻なら今日の夜には着けるだろう。それまでの間、とりあえずは休んでおこうと窓際にもたれた。
が安らかな寝息をたてはじめるころ、汽車はセントラルを出発した。
Part I conclusion
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あとがきという名の言い訳 vol.15
というわけで光輝の錬金術師第一部完結です。16話から第二部に突入しますが、こちらの選択肢は軍部サイドへと分岐します。読み進めるときはドリームメニューで軍部サイドを選択してください。
なんだかここまでかなり駆け足できたせいで、リゼンブールあたりから話の展開が淡々としてしまってすみません;書きたい部分を表現するのって本当に難しいんだな実感してます。
とりあえずここから先もお付き合いいただければ幸いです。