人間(ひと)の温もりがこんなにも優しく温かだということを、



誰かが傍にいてくれる事の安心感を、



こんなにも穏やかな朝を、



もうずっと忘れていた。










第24話 二人だけの誓約










窓から差し込んだ朝の白い光が、心地良いまどろみの中にいたの意識をゆっくりと呼び戻す。

「ん・・・」

は小さくうめいて、その感覚に逆らうことなく意識を覚醒させる。

(今何時だろう・・・)

なんだかとても懐かしい夢をみていた気がする。その安心感からか、つい深く寝入ってしまった。そろそろ起きなければならない時間だろう。

そこまで考えて、ぱちりと目を開けると、目の前に何やら黒い物体が目に入った。

(・・・へ?)

一瞬それが何なのか理解できなかった。しかし、それが自分をしっかりと抱きしめて眠るロイの黒髪であると分かって、は硬直した。

(そうだ・・・私・・・・・)

昨夜のロイとの行為を思い出して、は耳まで瞬時に赤くなる。特有の気恥ずかしさに一度きつく閉じてから、再びうっすらと目を開くとロイの端正な顔が見えた。

サラサラの黒髪に、同じ色の長いまつげ。穏やかな寝顔は、童顔の彼をいつも以上に幼く見せる。まるで少年のようなその表情には自然と笑みが漏れた。

(なんだかちょっと可愛いな・・・)

これで29歳というのだから何かが間違っている気がする。そう思った自身、童顔に関しては人のことを言えた立場ではないのだが、どうやら本人は気付いていないようだ。

(・・・・って、こんな事考えてる場合じゃないわ!!)

うっかり可愛いなど思ったあげく、ロイの寝顔に見とれてしまった自分には悶絶する。

(起きなきゃ!!)

そう思ってが体を起こそうとした瞬間、すぐ近くから低い笑い声が聞こえてきた。

「何をさっきから一人で百面相しているんだ、君は」

「え・・・きゃっ・・・・!?」

その声と同時に、の上半身がまた、ベッドの上に返り咲いた。気付けばいつの間にやら目を覚ましたロイが、目の前で不適な笑みを浮かべている。

「た・・・・大佐・・・」

「ロイ」

が思わず言えば、ロイはぴくりと眉を跳ね上げてを見た。その様子にはうっと息を詰まらせるも、小さく呟いた。

「・・・ロイ・・・・」

「おはよう、

「お・・・オハヨウ・・・・ゴザイマス・・・・・」

ロイは満面の笑顔になると、の耳元に口を寄せた。

「愛しているよ」

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

その声が、昨夜自分の耳元で何度も甘く囁いたロイを思い出させて、はまたも赤面する事になる。その反応を面白そうに見ながら、ロイはの額や頬に小さく口付けを落とした。

「ちょっ・・・・こ・・・こんなことしている場合じゃないです!!早く起きて支度をしないと・・・・!!」

放って置けばこのままさらにエスカレートしそうなロイの行動に、は慌てて彼の顔を押しのける。

「大丈夫、私は今日の午前中は非番だ」

「私は非番じゃありません!!」

調子に乗っての背中を撫でたロイに枕をぶつけて、はシーツを体に巻きつけて身を起こす。

「とにかく先に・・・っ!?」

ベッドから降りようとしたはそこでがくりと力が抜けるのを感じた。何故だか膝が笑って立ち上がる事が出来ない。

「ああ、言っておくが立てないと思うぞ?」

予想通りのの行動に、ロイは口の端を吊り上げて体を起こした。

「昨夜は少々加減する余裕が無かったからな」

「なっ・・・・!!」

はベッドの下に座り込んだまま、真っ赤になってロイを睨みつけた。しかしロイは、くっくと笑いをこらえながら、の体をひょいっと抱き上げてベッドに戻すと、抱きしめて再び横になった。

「ちょっ・・・ロイ!!本当にもう用意しないと時間がまずいんですが!?」

「君の午前非番も中尉に許可済みだ」

「は!?」

ロイの腕の中でじたばたともがいていたは、その言葉に一瞬自分の耳を疑った。

「い・・・・今何て・・・・?」

「君が私の家にいる事も、今日午前非番になる事も、全て中尉公認だ」

ロイは抵抗するに構わず強く彼女を抱き寄せて、にやりと笑った。

「ついでに言うなら、司令部の主な面子は知っている。だから安心したまえ」

はっはっはと笑うロイとは対照的に、目の前が真っ暗になったのを感じた。

「な、ななななななんで、中尉をロイに午前非番が許可を司令部にっ!?」

「順番が滅茶苦茶だ、意味がわからんぞ、

「だから、なんで司令部の皆が知ってんですか!?」

「いいから、もう少しの間大人しくしていたまえ」

「説明になってません!」

「うるさい口は塞いでしまおうか?」

「!」

ロイの顔がぐんっと接近した事では強制的に口を閉じる。

「・・・それでいい」

ロイはの唇に自分のそれが触れないすれすれの場所で言うと、満足気に笑っての頭を抱き寄せた。

「・・・・・・・」

はロイの腕に抱き枕のように大人しく納まりながら小さくため息をついた。

(・・・・・・もう、どうにでもなれ・・・)

半ば自棄気味にそう思って、彼女もまた目を閉じた。















(あー・・・もう・・・・・)

は廊下を歩みながら目元を手で押さえた。

結局彼女とロイが目を覚ましたのは、午後の出勤時間に間に合うぎりぎりの事であった。とりあえず、簡単に支度をした後、は一度ロイの運転する車で自宅まで戻り、着替えてから司令部に出勤した。

そのため、詳しい事情を知っている数人から見れば、一緒に出勤した二人の間に何があったのかは一目瞭然な訳で。あえてその事に触れてくる者はおらず、ロイも普段と変わらない態度だったが、は何とも気まずかった。

その場の流れとはいえ、ロイと関係を結んだ事自体は後悔していない。気付けば自分の口からは言えなかったが、はすでに、彼に対する自分の気持ちに気付いていた。


(後悔は・・・してないんだけどね・・・)

自分が周りに対して敏感になり過ぎなのが悪いのだろうが、慣れるまでには時間がかかりそうだ。そんな事を、無意識に深く考え込んでいたものだから、は廊下の曲がり角から出てきた人物に気付かず、思い切りその人物の胸に衝突する事になった。

「っ・・・ご・・・ごめんなさい」

条件反射で謝れば、頭上から聞きなれた声が降ってきた。

「どうしたんだ?

「ジャン!?」

見上げればハボックがトレードマークの煙草をくわえてを見下ろしていた。

「大丈夫か?」

「あ、えっと・・・うん。ちょっと考え事してただけ」

「そっか。悪ぃな、どこもぶつけなかったか?」

ハボックはしりもちを着いていたに手を差し伸べる。

「大丈夫よ、ありがとう」

は笑いながら、ハボックの手をつかんで立ち上がった。

「ならよか・・・・」

良かったと続けようとしたハボックだが、思わずそこで言葉を切った。に手を貸す事で必然的に前かがみになった彼は、偶然にもの軍服の襟元からちらりと見えた、小さな紅い痕を発見してしまったのだ。

「・・・ジャン?」

は何故か急に固まってしまったハボックを不思議そうに見上げる。

「えーっと・・・・・・・・ひっじょーに言いにくいんだけどな・・・・・」

「何?」

「・・・ここ・・・首んとこ・・・」

「首?」

ハボックが少しだけ顔を赤らめて彼の首を指したことで、は怪訝そうに眉を寄せた。

「あー・・・つまりだな」

普段は物凄く頭の回転が速いのに、こういった事になると途端に鈍感になるに、ハボックはゴホンっと小さく咳払いをした。

「キスマーク・・・・ついてる」

「っ!!」

その瞬間、ようやくハボックの言いたい事を理解したは、瞬時に沸騰してばっと、片手でその場所を押さえて慌てて結んでいた髪を下ろした。さらりと流れ落ちた長い髪は、見事に首元を覆い隠す。

「こ・・これは・・・その・・・・!!」

「あー、大丈夫だ、別に深くはつっこまないから」

慌てて言い訳をさがそうとするに、ハボックは苦笑しながらパタパタと手を振った。

(・・・だって・・・私、ジャンにあの時の返事をまだ返してないのに・・・)

ハボックがに思いを告げたのは少し前の事だが、彼女はまだそれに対する返事を返せないでいた。そして、そんなあやふやな内に今のような状況に陥っているのだから、慌てたくもなる。

「あ・・あのね・・・ジャン・・・私・・・」

だが、このままいつまでもいる訳にはいかないだろう。は一度息を吸ってからハボックを見上げた。

「待った、”ごめんなさい”とか言うなよ?」

「え?」

すると、ハボックの言葉がの出鼻をくじいた。

「言っとくけどな、俺、今回ばかりはマジなんだぜ?」

「ジャン・・・」

ハボックが真剣な顔をしたものだから、はどうしていいのかわからず、困ったように眉を下げた。

「そんな顔すんなって、お前はなんも悪くないんだからさ」

ハボックは肩を竦めての頭をぽんぽんと叩く。

「ま、あの時と一緒で俺のわがままだからな、はそのままでいればいいんだよ」

「・・・ごめんなさい・・」

はにかっと笑って見せたハボックに、かえって申し訳なくなって俯いた。

「だーから、あやまんなって!それに、俺、あきらめる気なんて無いから」

ハボックはそう言うと、身をかがめての頬に軽いキスをした。

「!」

は驚いて顔を上げると同時に、赤くなった。

「だから俺は俺のやり方で、いつかの事、振り向かせて見せるからな」

ハボックはの反応に満足したように、姿勢を戻して笑みをつくる。

「大佐には負けな・・・」



「ほぅ、それは私への宣戦布告と言うわけだな、ハボック」

ハボックの言葉の途中で、突然第三者の声が混じった。

「大佐!?」

言わずとも知れたその声にが振り返ると、一体いつからその場にいたのだろう、ロイが何やらどす黒いオーラを出して立っていた。彼はつかつかとこちらに歩いてくると、ぐいっとの腕を掴んで自分の方へ引き寄せた。

「先に言っておくが、おまえに勝ち目は無い。あきらめろ」

さりげなくの肩に手をまわしながら言うロイに、ぴくりとハボックの笑顔が引きつる。

「随分とまあ、大層な自信っすね」

「あたりまえだ。容姿、頭脳、地位、財力、権力、全てお前より上だ。私が負けるわけ無いだろう?」

ロイはそれはそれは勝ち誇った笑顔で言い放った。

「身長と性格は俺のほうが断然上っすね。ああ、それに誰かさんと違って、雨の日でも無能じゃないっすから、俺」

負けじとハボックが言うと、今度はぴしりとロイの表情が強ばった。

「貴様、上官侮辱罪で私自らこの場で消し炭にしてくれる、ありがたく思え」

そしてロイは手早く発火布を取り出すと右手にはめる。

「だーかーら!!そう言うところが大人気ないって言うんっすよ、アンタは!!」

「何だと!?大体貴様の方こそ、いつもいつも上官である私に対してだな!!」

「お取り込み中大変失礼いたしますが・・・・」

まるで子供の喧嘩のようにヒートアップしだしたロイとハボックの間に、絶対零度の声が響いた。ガチャリと銃の撃鉄が起きる音に気付いた二人は、青くなってその声の持ち主の方を振り向いた。

そこには予想通り、愛銃片手に、氷点下の眼差しでこの不毛な争いを見守っているホークアイの姿があった。

「お二人とも廊下ではお静かに。それと、未処理の書類が大量に溜まっていますので早く仕事に戻っていただきたいのですが?」

「「ちゅ・・・・中尉・・・これは・・・」」

「もう一度言った方がよろしいですか?」

二人が声をハモらせて言い訳をしようとすると、容赦なくホークアイの瞳が彼らを射抜く。その様子に完全にホールドアップした二人は一度睨み合ったものの、結局すごすごと退散する事になった。


その日から東方司令部内のいたる所で、を巡るロイとハボックの争いが賭けの対象にされていた事を、本人達は知る由も無い。













ー数日後ー






東方司令部内にある射撃訓練場から、常に銃声が途絶える事は無い。今もまた、人の形を模した的の一つに、鋭い音を立てて穴が開く。



「やはりお上手ですね」

的の頭部中央を見事に撃ち抜いた弾に、ホークアイは感嘆して、隣のブースのを見やった。

「中尉に比べたらまだまだですよ」

は苦笑しながらライフルを下ろす。彼女のその謙虚な態度に、自然とホークアイの表情が柔らかいものになった。

「・・・ずっと気になっていた事があるのですが、お聞きしてもよろしいですか?」

「はい?」

ホークアイが自分から何かを聞いてくることというのは珍しい。は一度射撃台の上にライフルを置くと、一歩踏み出してホークアイの方へ歩み寄った。

「それほどの腕を持ちながら、何故少佐は実戦で銃をお使いになられないのですか?」

少し前に、エドワードとロイの間でも似たような話題が上がっていた事をホークアイは知らない。だが、彼女の言うとおり、の射撃の腕は、実戦で使えば間違いなくトップクラスの狙撃手(スナイパー)になれることだろう。

しかし、ホークアイ自身、以前から何度もこうやって一緒に射撃訓練をした事があるにもかかわらず、が実戦で使うのは見た事が無い。

「・・・銃は、一瞬で人の生命(いのち)を奪ってしまえるものですから」

ホークアイの言葉に少しの間の後、は射撃の的の方へ視線を流した。

「昔、ある人に言われたんです。人の生命(いのち)を奪う事のある立場になるのなら、誰よりもその重さを知りなさいって」

生命(いのち)の重さですか・・・?」

ホークアイの言葉には小さく頷いた。

「それを知らずにただ生命(いのち)を奪うだけならば、それは殺人鬼となんらかわらない、ただの機械と同じだと」

ホークアイは頷くわけでもなく、ただ静かにの声に耳を傾ける。不思議と聞こえてくる射撃音が気にならなくなるほど、の声には何かの力が働いているようだった。

「だから私は、こうやって訓練はしていますが、出来る限り銃を使いたく無いんです。一瞬で生命(いのち)を奪えるものだからこそ、使い続けるうちにその重みが分からなくなってしまいそうで、怖いから・・・」

その言葉は、自身へと向けたものでもあった。自身の両親の命を奪ったのもまた、一発の銃弾であり、撃った男は事も無げに引鉄を引いた。

「本当は軍人としてこう言う考えは間違っているのかもしれません。でも、それを知る事によって、奪う命が少なくなるのなら私はその方がいいと思ってます・・・だから」

はホークアイに顔を向けた。その碧の瞳はいつになく、強い意志を宿していた。

「だから、私が銃を使うのは本当に守りたいものの為だけ。自分で決めたもの達の為であるならば、私は迷わず引鉄を引きます。たとえその生命(いのち)を奪う事になっても」

少佐・・・」

一体、彼女のどこに、これほどの強さがあるのだろうとホークアイは思った。その優しい碧の瞳はどれほど遠くまでを見据えているのだろう。

「・・・すみません、何だか話がすごく矛盾してますね、忘れてください」

は照れくさくなったのか、小さく舌を出した。

「いえ、分かる気がします」

ホークアイがそう言って微笑むと、も自然と笑顔になった。

「ありがとうございます」




「お、休憩中かい?」

ーと、ちょうどそこへ、射撃訓練場の監視員の男が歩いてきた。とホークアイも顔なじみである彼は親しげに話し掛けると、首から下げたスコープで二人の的を交互に見た。

「二人とも相変わらずいい腕してるねぇ」

全ての弾がほぼ中央ばかりを撃ち抜いた二つの的に、男は賞賛の声をあげた。

「−と、そうだ。二人とも大佐が呼んでるぞ」

「大佐が?」

「ああ、セントラル行きが決まったらしい」

その言葉にとホークアイは一瞬顔を見合わせ、同時に頷いた。

「「はい」」












「さて!」

執務室に、呼び出した全員がそろうと、ロイはデスクに手をついておもむろに立ち上がった。

「ケイン・フュリー曹長、ヴァトー・ファルマン准尉、ハイマンス・ブレダ少尉、ジャン・ハボック少尉、リザ・ホークアイ中尉、少佐」

そして一人一人を見やりながら、それぞれの名前を呼んでいく。

「以上6名、私と共にセントラルへ異動となった。文句は言わせん!付いて来い!」

力強いその声に、整列した六人は迷うことなくビシリと敬礼した。

















(今日でこの部屋ともお別れだな)

東方司令部にて過ごす最後の日、ロイは柄にも無くそんな事を思った。

セントラル行きが決まってから一週間、慌しく異動準備を整え、必要な荷物等を全部運び出してしまった執務室は閑散としていてやけに広く感じた。

なんとなく名残惜しむような気分で、ロイがデスクに触れた丁度その時、コンコンとノックする音が聞こえた。

「開いているぞ」

人が物思いにふけっているというのに、邪魔をするのはどこのどいつだと、ロイが不機嫌そうに目を向けると、部屋に入って来たのはだった。

少佐?まだ帰ってなかったのか」

ロイは意外な来訪者に少し驚いた。彼女を始めとして、ロイと共にセントラルへ異動になった6人は、今日はその準備のため定時前に帰宅したはずだった。

「他の皆は帰りましたよ」

はパタンとドアを閉めて、ロイの方へ歩いてくる。

「大佐。私には、お話しておかなければならない事があります」

「どうした急に、改まって・・・」

いつになく真剣な表情で自分の目の前にたったをロイは不思議そうに見下ろした。

「大佐は以前、私が国家資格を取った理由をお聞きになりましたね?」

「ああ」

「私が資格を取り軍に入ったのは、私の両親を殺した犯人を見つけ、この手で復讐するためです」

きっぱりと言い切ったに、ロイは思わず目を見開いた。

「何故、本当のことを言う気になった?」

「等価交換です」

は、きっ、と強い眼差しで言った。

「大佐が私にしてくださった事への、これが私の代価です。ですから、どうしても東方司令部(ここ)にいる間に聞いていただきたかったんです」

この半年の間にロイがに与えてくれた数々のもの達。それに値する代価など本当は何も無い。だからせめて、本当の自分を知っていて欲しかった。

「それからもう一つ。遅くなってしまいましたが、これは部下としてではなく・・・・・から、あなたへ」

は、意識してきつくしていた瞳を、常からの優しい物に戻して、ロイを見上げた。


「愛しています、ロイ」


全ての気持ちを込めたの言葉に対する返答は、言葉ではない応酬で返された。彼女の体をふわりとロイの腕が包む。

「まったく君は・・・・一体どこまで私を溺れさせてくれるつもりなんだ・・・」

冗談めかしているようだが、ロイの腕は強く、しかし全身全霊で優しくを抱きしめた。

「さあ・・」

は小さく笑うと、自分もロイの背中に腕をまわす。

「まあ・・・仕方ないな、こう言う場合は惚れた方が負けと言う・・」

ロイは自嘲気味に笑って、の髪を愛しげに撫でた。

「だが、先に言っておくぞ。君からそう言った以上、何があっても手放すつもりはない。覚悟しておけ」

「わかっています、私もそのつもりですから」

は悪戯っぽく笑いながら腕の中から上目遣いにロイを見やる。

「難なら誓約書でも書きましょうか?」

「誓約ならこれで十分だ」

ロイはその様子に笑って、の頬に手を触れる。

そして二人の唇が重なった。







それは部屋の片隅で交わされた、二人だけの小さな誓約。



共に戦い、共に進み、常に隣にあるために。





Part U conclusion





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あとがきという名の言い訳 vol.24

たまには書くのが苦手なラヴ甘展開目指そうとしたら、前半部分がただのお約束満載バカップルになりました、ohイェー(何)

というわけで、軍部サイドも無事第2部完結、第3部からセントラル編に突入です。なんだかここ数話の間に結構怒涛の展開で失礼しました。特にこちらのサイドでメインのお相手であるロイに対しての嬢の変化が少々慌しかったかと思います;でもセントラルに移る前にここら辺の決着はつけておきたかったので。

ですが、何やら途中でプチ争奪戦?のようになった通り、まだまだハボックも絡めていくつもりです。さすがに、このまま放置という理不尽な事は出来ませんがな(神崎結構ハボスキーなので・笑)

ではでは、この先もお付き合いいただける事を願って、今回はこの辺りで。


なんだかちょっと違和感があったので、しばらくの間はヒロインのロイに対する口調を敬語のままにする事にしました;
修正日:5/23